最低限おさえたい発音 - その3:似ている子音の区別
[1] [l] と[r] の区別
私達が一番気にしがちな音ではないかと思う。
聞き取りに関してはそう神経質になることはない。
L が R に聞こえるか、R が L に聞こえるか、の二つの可能性しかないのだから自分で「おや?」と思ったら、その可能性を考えればいいだけだ。
あなたの発音で相手を混乱させないことのほうが、ずっと大切。
まずは自分でしっかり区別して発音できるようにしよう。
自分なりにキチンと発音していれば、リスニングにも効果が波及する。
ここでは、普通の発音練習に加え「(1) LとRの混ざった発音しにくい単語でビジネスで頻出するもの」も練習しておく。
話すときに L と R を言い間違えてビジネス上で失態に至るとか、
非常に embarrassingという例は特に思いつかないのだが、
一つだけ、ぜひ注意して頂きたい例外がある。
これを、「(2) LだったかRだったか忘れて、入替えてしまうと
周囲の人が非常に恥ずかしくなる言い違い」の項で述べる。
●発音のコツ
[L] 日本語の「ラリルレロ」の要領でよいが、それに加えて舌先を強く
上の歯の後ろに押しつけ、少し長めに伸ばして、息を強めに出す。
舌の両側に空気が押し出される感覚がある。
[r] 唇を 「ウ」 の形に突き出してして音を出し始める。right だったら
「ウrgiht」と発音する感じ。
舌先を丸めて、舌を口の奥へ引っ込める。突き出した唇を素早く引き戻すと、これがやりやすい。舌先が口の中のどこにも触れていないか注意。
[答え]
loyal-royal, long-wrong, collect-correct, lap-wrap
LAN-ran, glow-grow, light-right, flee-free
[単語の意味]
loyal-royal
loyal 忠実な、忠誠心のある
loyal customer 「忠誠な顧客、上顧客」
customer loyalty (CL) カスタマー・ロイヤルティ、顧客忠誠心
royal [形容詞] 王室や王族の [名詞] royalty (特許の)使用料、(音楽や
著作などの) 印税
long-wrong
collect-correct 「集める」と「正しい、正す」の違い。
be collected 冷静な
lap-wrap
lap 走路の一周、プールの一往復; 座ったときの腰から膝までの水平な部分。
I swim forty laps every day. 毎日40ラップ泳ぐ。
lap dance ラスベガスなどを訪問する日本から出張のビジネスマンが夜の接待の一環に望んだりする。
ビジネスウーマンだと望まない。
ラップ・ミュージックの "rap dance" ではない。
wrap 包む
wrap up the discussion 議論を要約して切り上げる
LAN- ran
LANという用語を知らない企業人は少ないと思うが、正式名称は Local Area Network。
glow-grow
glow [名詞](蛍光灯などの)冷光、蛍光、柔らかな光;[動詞](光を反射して)柔らかく輝く
light-right
flee-free
flee 逃げる、逃れる、逃走する
(1) LとRの混ざった発音しにくい単語でビジネスで頻出するもの
自分で何度も発音すれば、単語のどこの部分がR で、どこが L だったか忘れることもない。
[答え]
reluctantly, , release, relevant, irrelevant, relatively, reload, relentlessly, prolong
[単語の意味]
reluctantly しぶしぶ、嫌々ながら、不本意ながら
release (ロックなどを)解除する、情報を公開する、発表する 映画を封切る、出版物を発売する
relevant 〔検討中の課題などと〕関係のある、関連(性)のある;今日的な意味を帯びている
irrelevant 見当違いの、無関係の、不適切な;重要でない、意味のない
relatively 比較的に、相対的に
reload リロードする(=(コンピューター)再読込みする、(トラックなどに)荷物を再積み込みする等々)
relentlessly 容赦なく、冷酷に、執拗に、しつこく
prolong 長くする、長引かせる、(引き)延ばす
(2) L だったか R だったか忘れて入替えてしまうと周囲の人が恥ずかしくなったり喜んだりする言い違い。(音声なし)
elect-erect, election - erection
elect 選択する election 選挙
erect [動詞]直立する、勃起する [形容詞] 直立した、勃起した erection 直立させること、勃起
私が特にこうした例をあげて面白がっていると思わないで頂きたい。
この勘違いは英米の日本人ジョークにもよく登場する。
興味のある人は Japanese jokes erection election のキーワードでググってください。(今、アルクの英辞郎で election と erection を見たら、この点をちゃんと注記してあった。頼りになりますね、アルクさんも。)
[2] 少しの努力で発音のしわけ、聞き分けの可能なペア
聞き分けにそれほど難しくはない子音、つまり自分で発音するのも難しくない子音を取り上げる。心構えの問題なので、ここで区別を明確にして、自分の発音を簡単にレベルアップしよう。
それは [s] - [ʃ] 及び [h] - [f] の区別だ。
[s] - [ʃ] 及び [h] - [f] の区別
●発音のコツ
[s] 口の歯と歯の隙間から「スー」っと息を吐き出す音。
ボールからに空気が抜けていくような音だ。
(1) 舌を上の歯茎から上下の歯の2mmくらい開けたスキマまでの範囲のどこでもいいので軽くくっつける(場所は自分がやりやすい場所でOK)。英語ネイティブは舌先を下歯茎の天辺あたりにつける人が多いが、結果的に出る音に殆ど差はない。
(2) 舌をつけたまま息を通す。
(3) このとき、空気が抜ける音がする。相手に聞こえるようにしっかり。
この[s] の音を出すことは日本人には簡単だが、うっかりこれを [ʃ] に代えてしまうと非常に embarrassing なものがある。そう、 sit を shit と言ってしまうこと。
curse word (罵る言葉)として "Shit! (クソーっ!)" というのはアメリカ映画などで耳にすることも多いが純粋に動詞として使うと、「ウ●コする」となるのでPlease シット down.、とか May I シット here? などと言うと洒落にならない。
テレビの連続コメディドラマを sitcom (= situation comedy) というがこれをカタカナで シットコム と書くことが多い。ほかに適当な表記がないので しかたないのだが、このカナ書きをもとにshitcom と言ってしまわないように。
[ʃ] 日本語の シャシュショ から母音を抜いたもの。 息を強めに出す。
[h] 日本語の「は行」の音から母音を抜いた音。
[f] 「下唇を噛む」と教わった人もいるかもしれないが、 それはおおげさ。上の歯をごく軽く、弱く下唇の上に乗せ、息をフーッと腹から出す。 下唇のやや内側でもよい。
では、例を聞いてマネてみよう。
seat-sheet
sea-she
sign-shine
holder-folder
hired-fired
[3] 聞き分けはやや難しいが自分では区別したいもの二つ
(1) [v] と[b] の区別
現実の会話場面での聞き分けは難しい。いちおうカバーするが現実場面では気にしすぎないこと。もしかすると b でなく vでは、と気づけばよい。どうしようもなく恥ずかしい取り違えというのはないはずだ。
[b] は破裂音なので「ブチっ」と破裂した感じがする。息は強い。
破裂させるので長く発音できない。
[v] は摩擦音。こすれる。長く出すことが可能だし、一般的に [b]より長く聞こえることが多い。
●発音のコツ
[v] 口のポジションはFと全く同じ。上の歯をごく軽く、弱く下唇の上に乗せ、息をフーッと腹から出す。 下唇のやや内側でもよい。f との違いは、v では声に出すこと。声を出しながら息を出すと、上の歯と下唇が振動し、唇がなんだかむずがゆい感じがするはず。
[b] 日本語の「バビブベポ」と同じ口の形でいいが、もっと、はるかに強く破裂させるつもりで。
b-v のペアでいくつか比べて聞く。最初が b, 次が v だ。
boat-vote
best-vest
vest [名詞]チョッキ、ベスト、[動詞]〔権力・権限などを〕与える、授与する、授ける
berry-very berry にも strawberry, blueberry, cranberry といろいろ。みんな含む。
bow-vow
bow お辞儀(する)
vow [名詞] 誓い [動詞] 誓う、断言する、公約する、明言する
trouble-travel
同じものを別人の発音で聞いてみよう。
では、ランダムに聞いてみよう。
[答え]
vest, bow, boat, berry, vow, trouble, best, very, travel, vote
(2) [s] と [θ]の区別
●発音のコツ
TH の発音は間違って覚えてしまっている人が多いので確認しておく。
THの発音の要領は・・・
(1) 上の歯の下端に舌先を軽くあてる。 下の歯からのプレッシャーはまったくない。舌先が歯より前に出るのは、ごくわずかでよい。
(2) 上歯の下側をツルッと軽くなでるようにして 舌先を口の中に引き戻しつつ、息を強めに出す。そのときの舌を歯の間を息がこすれて通りぬける音が TH の音。
口の形だけ見ると、舌が上下の歯にはさまってはいるが、
噛んでいるわけではない。
英語ネイティブに口の形を見せてくれと言えば
おおげさに舌を突き出してみせるだろうが、
そのような舌のポジションは th の音を特に強調するときのみに使われるのが普通だ。たとえば...
「例の」を強調したい時の the の発音。
「あの」を強調したい時の that の発音。
では、 [s] と [θ] を聞き比べて自分で発音しよう。
ごく基本的な単語ばかりなので意味は書かない。
face - faith
slow -throw
pass - path
sink - think
sing - thing
some - thumb
sick - thick
ランダムに発音するので聞き取れるか試してみよう。
[答え]
some, thick, path, sink, thing, throw, slow
faith, sick, thumb, think, face, sing, pass
ここでは、一語一語発音のサンプルとしてきちんと発音しているのでth がハッキリと聞こえるが、現実には単語の頭にあると音の変化を起しやすい音の一つ。
英語ネイティブであっても、「正しい」発音は面倒な音だ。
参考: https://namaeigo.com/archives/709
[4] 日本語になっていて問題を起こしやすい単語
日本人が英語を発音するとき、本来子音だけの音節に母音をつけてしまうので何の言葉か分からなくなる、ということはご存知だろう。
たとえば fast という単語の st の部分には本来は母音はまったくないので「スト」と発音すると、何のことだか分からない。
ここでは文頭が破裂音で始まる単語で日本語にもなっているものをいくつか選んだ。
try の出だしは、あくまで T であり、決して「ト」ではない。
T を破裂させた直後に R を発音するわけだが、
コツは、T を強く押しつぶすように R にくっつけるイメージだ。
全ての破裂音は、日本語で破裂音を含む 「パ行の音、カ行の音、た、て、と、だ、で、ど」の p, k, t, d よりも、はるかに強く破裂させること。
try, trial, play, trick, track, true, dry, cry, dry
文字を見て自分でまず発音し、それからサンプル音声と比べて必要なら修正しよう。